深沢俊太郎

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深沢俊太郎の部屋
Shuntaro Fukasawa
ネット中国性文化博物館


休 憩 室:中国の春画絵師たち
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唐寅(とういん)
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 中国の春画は明代後半以降、特に流行したといわれております。まず筆頭にあげられる画家は中国では誰もが知っている《江南第一風流才子》と自称した唐寅(とういん)です。この唐寅さん、家に八人もの妻妾がいたにもかかわらず、なお秋香という華府の義女に一目ぼれし、一年有余の努力の末、ついにこれをオトしたりするという熱血、自由奔放の風流人。ただそんな唐寅さんも、ご多分にもれず恐妻家、正妻の陸昭容(りくしょうよう)が夫を捜して友人の祝枝山(しゅくぎさん)宅へおしかけ、唐寅の行方を追求して大騒ぎをする場面を描いた絵すら残されていたり、この唐寅さんにまつわるお話は『三笑姻縁』の物語の中で民間に広く知られてもいるようです。
もともと酒や食品雑貨を小売する貧しい身分の商家の出でしたが、若くして文名高い人でしたが、さっぱりと潔く官職を辞した後、破天荒の生き様でならした才人であっただけに、人々からことさら愛されたのであろうと思われます。

唐寅(とういん)(1470〜1523)呉県(現蘇州)の人。字は伯虎(はくこ)、また子畏、号には、六如居士、桃花庵主、魯国長生、逃禅仙史がある。弘治十一年(1498年)唐寅29歳、南京にて《郷試》を受け「解元」つまり首席合格の挙人となったことで、一夜にして名を成した。弘治十二年(1499年)、唐寅は江陰の大財閥徐経に随って北京に往き科挙の試験を受けるが、この《会試》(郷試に合格した者、つまり挙人を礼部に集めて行なう試験のこと。これに合格すると「貢士」の称号が与えられ、《殿試》を受ける資格が与えられた。)の時に、カンニング嫌疑事件にまき込まれ投獄、官職を降されたことから、これを恥とし、きっぱりと官吏を棄てて後、遂に仕官することはなかった。
一切を捨てた唐寅は蘇州に居を構え、36歳の時には桃花庵建造にとりかかり、数年の歳月をかけてこれを完成させた。庵内には「学圃堂」、「夢墨亭」、「あげは」(あげはちょうは「あげはちょう」の意)などの景観処を造り、詩文書画の創作に傾注するかたわら、名山大河に遊び、著名な文人画家らと交わり風流三昧に耽った。しかし《好景不長》いい思いは長続きしないのは世の常で、1518年、唐寅39歳の時に、彼が最も寵愛した12になる甥っ子長民の突然の病死に衝撃を受け、深い悲しみに陥る。
すぐその翌年の正徳十四年(1519年)六月に、南昌寧王朱聖濠(?〜1521)(−−朱聖濠は唐寅の名声を慕って唐寅を厚く招聘したが、唐寅は寧王の志の別処にあるのを悟ったことから、狂人を装い逃げ帰った経緯があった)が帝位謀奪事件を起こした。国主と自称する朱聖濠は兵を挙げ、自ら順徳と改元、勢いに乗って九江、南康を落とし、さらに揚子江を東に下らんとする勢いも、七月、あえなく提督南クモ軍務都御史王守仁に破れ、捉(とら)えられ、翌年処刑されてあっけなくこの帝位謀奪事件は終る。唐寅は連座の罪は免れたものの、朱聖濠より招聘を受け同調の嫌疑をかけられたことから、人生の有為転変、人生の予測不可能、人生の無常感を自ら悟るものがあり、やがて宿命論者への道を歩む。晩年仏教に帰依し、仏教経典にある「人生、夢幻泡影の如し、露の如し、電の如し、かくの如く観るべきなり」から取って「六如居士」と号し、以後唯心論者となり、仏の懐深くわけ入って行った。

 唐寅は少年時、周臣(字は舜卿、号は東村)に画を学び、南宋の謹厳雄渾の筆使い、「風骨奇福」、力強く奇抜で激しい画風スタイルを会得した。その後、広範囲に大家の画風を漁り学び、北宋の李成、元代の趙子昂らなど円潤秀逸、蒼渾内薀の筆使いを体得しつつ徐々に独自の画風を形成して行った。殊に仕女図美人画に特殊な才能を発揮した。

 では唐寅のその仕女図の特徴について記しておきましょう。彼の描く女人像は前額、鼻先、下顎の部分が白く描かれており、世にいわゆる《三白法》として知られています。唐寅の作かどうか知る上での判断基準になったといわれていますが、これを真似たニセ作も多く出回ったようです。今回収録の作品(0016‐1〜13を参照)もそのニセ作の一つかと思われますが、唐寅の作風特徴をかいま見る手立てとはなり得ましょう。唐寅の代表作《秋風扇図》、《李端端図》は上海博物館に展示されています。

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